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訪問介護ヘルパーとして働く際、訪問先に着くと最初に必ず、携帯ソープと消毒液で手指消毒をおこなう=水沼三佳子さん提供

メディア空間考 松浦祐子

 編集長という立場になると、自分で取材に行くよりも、ほかの人に執筆を依頼し、書いてもらった原稿を編集するということがどうしても多くなる。そうした過程の中での筆者とのやり取りは、“現場の今”を実感できる貴重な機会だ。

 私が「なかまぁる」で編集を担当する連載の一つに「副業ヘルパー」がある。先日、筆者の水沼三佳子さんと、今後の題材について打ち合わせをした。水沼さんは出版社で編集者として働きながら、週に1日、訪問介護のヘルパーとして勤務している。

 「訪問先で電子レンジが500ワットだと食材の温めに時間がかかってしまうのですよね」。水沼さんからそんな言葉が飛び出した。どういうことなのか。訪問介護中、食事の準備から高齢者の方に食べ終えてもらうまで、かけられる時間は20分程度。分刻みの業務の中で、電子レンジが500ワットか600ワットかという差がケアの在り方に大きな違いを生むという。600ワットならば温め時間を減らせる分、高齢者に少しでもゆっくりと食事をしてもらえるというのだ。

 介護業界では人手不足が特に…

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