「突然怒り出したり苛立ったりされることもあるでしょうから、そりゃ怖いでしょうよ」
5月12日配信の記事「退職したいほど『電話が怖い』 SNS世代の社員が抱く不安と責任感」に、批評家で日本映画大学准教授の藤田直哉さんは、こうコメントした。
記事では、SNS世代の若手社員は電話対応が苦手で、電話が嫌で退職につながるケースもある実態を伝えた。炎上リスクもあるSNSが主なコミュニケーション手段の世代は「言葉の責任感」が強まっているとの見方も紹介しつつ、電話が苦手な理由として「会話の瞬発力が必要」で「沈黙も怖い」ことなどを紹介。対策として、電話対応の研修や、対応自体の外部委託をする企業もあるとした。
藤田さんはコメントで、問題の本質は、対面や音声言語を重視していた「上の世代」と、スマホや文字情報を重視する「下の世代」のコミュニケーションギャップだと指摘した。
藤田さん自身、若者ではないが電話嫌いだと明かした上で、「下の世代」を擁護。電話は時間が奪われる上、「何を言いたいのかの趣旨も不明瞭な人も多く、威圧的な言動で『察する』ことの暗黙の要求も多くなりがちではないか」と懸念した。
一方、電話のメリットとして、会話に慣れればコミュニケーションが円滑に進み、ニュアンスが伝わりやすい点を挙げた。ただ、現代社会は「労働人口的にも金銭的にも」生身の人間が電話に丁寧に対応する余裕はなくなっていると指摘。「上の世代」の意識転換の必要性も説いた。
「若者たちに電話を練習させるだけではなく、かける側の意識も変わってもらう必要がある」
この記事や、藤田さんのコメント全文はこちらから(https://t.asahi.com/woz0)。同じ記事には、漫画家の辛酸なめ子さんらもコメントしています。あわせてご覧ください。
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