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現役時代の横山実香さん。東日本大震災の影響で休館していたスパリゾートハワイアンズの再開に向けたリハーサルで=2011年9月、福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズ、西堀岳路撮影
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 14年前の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の当時、中には被災したメンバーもいながら全員で、被災者に笑顔を届け風評被害を打ち消そうとキャラバン公演で全国を巡ったスパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)のフラガール。今秋、当時のメンバーが再結集し、1日限りのショーを披露する。

 ハワイアンズの創業還暦祭のイベントの一環。震災当時、原発事故の避難者や津波で自宅が全壊した人もいた36~45期生の計28人は、発災約1カ月後の4月には練習所がある常磐音楽舞踊学院に全員が集まり練習を再開。翌月から3班にわかれて市内の避難所を回り、慰問公演を始めた。その後、映画にもなった創業時のPRキャラバンのようにバスで長距離移動しながら各地を回り、10月までに26都府県など125カ所で247回公演した。

 今回の再結集公演は10月18日で、15人が参加する予定。その日に向けて5月20日にレッスンを開始した。2019年にも創業55周年を機に13人が集まったことはあったが、それでも顔をそろえるのは6年ぶり。いずれも引退して子育て中の人も多く、フラから離れている人もいる。

 練習したのは現役時代の2曲で、1期生から指導する学院最高顧問のカレイナニ早川さん(93)が「前よりも今風に新しくしよう」とステップなど振り付けを変えたところも多かったが、元フラガールたちは早川さんの指導で、たちまちマスター。早川さんは「これがプロなんです。すぐに全員そろって踊れるでしょ。震災の経験もあったから息が合う、気持ちを一つにできるんですね」と、ブランクを感じさせないかつての教え子たちに目を細めた。

「新しい自分へ」 夢は故郷・双葉でのフラ披露

 この日、レッスンを受けたメンバーのなかに、43期生の横山実香さん(36)の姿もあった。11年前に引退し、今は働きながら、いわき市内で3歳と1歳の子育てに奮闘中。原発事故で、立地する双葉町にあった実家と「ふるさと」を失った。

 2019年、1回目の再結集…

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