「どんな活動しているの?」「どうしたら興味を持ってもらえるかな?」。東日本大震災の記憶や教訓を伝える若い世代の「語り部」同士が、交流を始めている。交流は何を生んだのだろうか。
きっかけは、1人の高校生だった。
仙台市泉区の高校2年生、西城遥斗さん(17)。2023年10月、国がつくった伝承施設「みやぎ東日本大震災津波伝承館」(宮城県石巻市)の「ボランティア解説員」になった。
震災の被害や津波の危険性を説明し、館内展示を案内する学生ガイド。これまでに小学4年生から大学生までの8人が認定を受けた。
同世代は何を考え、活動しているのだろう
西城さんは震災のとき、3歳。当時の記憶はほとんどなく、被害が大きかった沿岸部で育ったわけでもない。
ただ、津波で町が壊滅した南三陸町に住む祖父母と、原発事故で農産物の出荷制限が出た福島県桑折町で農家をしている祖父母から度々、話を聞き、震災や防災のことを少し身近に感じていた。
小学校高学年になると関連の本を読んで学び、その知識を生かそうと、中2で防災士の資格を取った。その延長で震災についてももっと知りたくなり、ボランティア解説員になった。
半年ほど活動を続け、ふと思った。気仙沼市の震災遺構・伝承館にもボランティアの学生ガイドがいるし、県立多賀城高校には県内唯一の災害科学科で学ぶ生徒がいる。
同じように伝承活動をする同世代は、何を考えて活動しているのだろう。話してみたいな。
西城さんらボランティア解説員は、それぞれの都合に合わせて活動日を決めるため、他の解説員と会う機会が、実はほとんどない。
24年4月9日。「県内で震災伝承をしている若者が集まるイベントはありますか?」。みやぎ伝承館を運営する県職員にメールを送ると「ないです」との返信。落胆したが、解説員の仕組みを始めた東北大学の佐藤翔輔准教授(災害情報学)が背中を押した。「じゃあ、企画してみればいいじゃん」
遺稿のリアリティー、訴える力が違った
西城さんが同世代の活動を見…