朝日新聞で石川県の輪島支局長を務めたジャーナリストの藤井満さん(58)=大阪市=が、能登半島地震の被災地を歩き、「能登のムラは死なない」(農山漁村文化協会、税込み1980円)を出版した。交流のあった人たちを訪ね、心を痛めながらも再認識した能登のムラ(集落)の強さをつづっている。
藤井さんは2011~15年度に輪島支局長として輪島市で暮らし、在任中に、集落取材の記録をまとめた本「能登の里人ものがたり」(アットワークス)を出版した。取材相手とも親しくなり、海と山の恵みを満喫した輪島は、楽しい思い出ばかりの大切な場所だった。だからこそ、輪島になじんでいた妻が18年に亡くなると、足が遠のいた。
24年の元日に地震が起きると、すぐに駆け付けたいと思ったものの、ボランティア自粛論が広がった。「本当に迷惑なら、行かない方がいい。でも、駆け付けない言い訳にもなっていたと思う」と振り返る。
大所高所からではなく
1月下旬、親しくしていた地…