最短で0.1秒の光を当てるだけで野菜や果物の鮮度が保たれ、カビや腐敗も減らせる。四国生まれのそんな鮮度保持技術が、全国の集荷場や選果場で広がっている。食品ロスや農薬使用の削減にも貢献するという。
開発したのは四国電力グループの四国総合研究所(高松市)。テレビのリモコンにも使われている「近赤外光」という肉眼では見えない光を応用した世界初の特許技術で、2015年に世界的な学術雑誌にも掲載された。赤外光の英語表記「Infrared」の頭文字から「iRフレッシュ」と名付けられた。
同社の化学バイオ技術部研究主幹の垣渕和正さんによると、青果物は強い近赤外光を照射されると寒さや乾燥の「前兆」と捉え、気孔を閉じて蒸散を防いだり、抗酸化活性を増やして微生物の増殖を抑えたりする。こうした反応を利用し、青果物のカビやしなびを抑え、おいしさを保つ仕組みという。
実験では、ほうれんそうを室温10度の部屋で保管した場合、何もしないと4日目を過ぎるとしなびやしおれが見られたが、iRフレッシュを照射したほうれんそうは6日目でも張りやつやが保たれた。
糖度の向上やつやの維持にも効果
同様の実験を温州みかんに試…