Smiley face
写真・図版
化け猫とねぶた師の林広海さん。奥に刀を振りかざした小森半左衛門=2024年7月3日午前11時49分、青森市、江湖良二撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 みちのくの夏を彩る青森ねぶた祭が8月2日に開幕する。22ある大型ねぶたには、佐賀県を舞台とすいるお家騒動を描いた「怪猫(かいびょう)佐賀の夜桜」がある。遠く離れた青森で、猫を取り上げた理由とは。ねぶた師の林広海さん(56)に話を聞いた。

珍しい猫のねぶた

 元々の出典は「佐賀の化け猫騒動」。青森ねぶたの公式ホームページ(HP)の解説では、江戸時代初期の佐賀鍋島藩の藩主・光茂が、口論をきっかけに家臣・龍造寺又七郎を切り捨てた。又七郎の母は自害、その血をなめた猫が化け猫となり、怪事件を起こした末、光茂の忠臣・小森半左衛門が化け猫を退治する――という物語だ。

 戦国時代、佐賀の地はもともと龍造寺家が支配していた。秀吉の天下となって以降、家臣だった鍋島家が台頭、君臣の立場が逆転した。地元では龍造寺家に同情的な見方もある。

 過去盛んに歌舞伎や映画になった。子どもが悪さをすると「化け猫がでるぞ」と大人に脅されるくらい、地元ではおなじみだ。

 26日に台上げされたねぶたは、右側にかんざしや着物を身につけ、髪を逆立てた巨大な化け猫。左側に大きく刀をふりかぶった半左衛門。その左側に化け猫の尾が大きくまわりこみ、夜桜と三つの人だまをまとう。

 ねぶた師の林広海さんは、2019年にねぶた師としてデビュー。「猫を大きく作って、迫力を出したいと思って。あと夜桜の桜吹雪を表現したかった」。確かに鬼や竜、虎などはよく目にするが、猫がねぶたに登場するのは珍しい。

 「勧善懲悪、一般の人にもわかりやすいイメージを心がけた」と林さん。ただ、乗っ取られた龍造寺家の恨みが猫に反映され、単純な「勧善懲悪」ではないのでは、とも捉えられそうだ。

ねぶたの題材の選び方は?

 「22の団体がそれぞれ、題…

共有