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青森北―聖和学園 四回表、工藤佑の中前適時打で二塁走者石郷が生還し、先制点を挙げる。捕手高階=2025年6月10日、米沢市営、八鍬耕造撮影
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(10日、春季東北地区高校野球大会1回戦、青森北2―3宮城・聖和学園)

 昨夏の宮城代表だった私立校に惜敗した青森北の工藤公治監督は試合後、明るい表情で言った。

 「東北大会のレベルになれば1球で決まる。その経験ができたことが収穫だと思う。勝ちか負けかのジャンケンポンで負けた」

 安打数は8本対3本で、聖和学園を大きく上回った。ただ、序盤の好機に先制できず、四回に工藤佑真(3年)の適時打などで2点を挙げて均衡を破ったが、その裏に先発した工藤佑が6番打者に逆転の3点本塁打を浴びた。五回途中から登板したエース神(じん)騎士(ないと)(3年)が無失点の好救援をみせたが、相手の2番手投手から得点を奪えなかった。

 青森北は前身の市立校時代を含めて3回の甲子園出場がある県立校。最後の甲子園出場は1983年春だ。県内は全国屈指の強豪校の青森山田、八戸学院光星のほか、弘前学院聖愛、八戸工大一といった私立がしのぎを削り、その壁は高く、そして厚い。

 ただ、青森北は県大会の3位決定戦で聖愛に競り勝って東北大会に駒を進めてきた。「公立の意地、執念をみせたい」という工藤監督の気持ちが出たのが、八回の攻撃前の円陣だった。

 「ここで負けたら、(青森)山田に勝てない」

 選手たちを鼓舞すると、直後の攻撃では代走を起用し、打者へは伝令を出した。盗塁失敗があり追いつけなかったが、「動いていかないと勝てない」と振り返った。「選手たちはもっとやれるのに、公立校だから引いている気がする」とも話した。

 聖愛に勝ったことで、思った以上の反響があったという。夏は光星や青森山田も破って甲子園へ行きたい、という強い思いがある。

 工藤佑は「勝ってまた強い相手と試合をしたかった。私立の壁は厚いけれど、公立の意地は見せたい」と力強く言った。

 全国的にみてもレベルが高い青森勢で、公立校が注目の存在になっている。

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