県立高校で社会科を教えていた先生が、定年を機に、神奈川県寒川町で障害者が働ける事業所を始めた。めざすのは、障害者が自然の中で生き生きと農作業し、耕作放棄地もよみがえらせる「農福連携」の実践。
利用者はまだ息子1人だが、かつての教え子たちを思い浮かべながら、挑戦を楽しんでいる。
4月、寒川神社近くにある民家を改装し、オープンした「みはらし」は、一般企業に雇用されるのが難しい障害者に就労の機会を提供する「就労継続支援B型事業所」だ。
相模川沿いに借りた約2千平方メートルの畑で、タマネギやジャガイモなど十種を超える露地野菜を育てたり、とれた野菜を袋詰めして近くのスーパーで売ったりする。
茅ケ崎北陵や茅ケ崎養護(現・茅ケ崎支援)、湘南高校などに勤め、4年前に定年を迎えた斉藤章生さん(64)が、妻の由紀子さん(57)や、同僚だった上村薫さん(65)らと立ち上げた。
ふくらむ夢、つれない行政
きっかけは、ダウン症の長男・光平さん(25)が、養護学校卒業後に通った事業所で感じた疑問だった。
割り箸を袋に入れる、シャー…