広がる茶畑=鹿児島県茶業会議所提供

 「香りがいいね」「甘くておいしい」

 3月19日、鹿児島空港(鹿児島県霧島市)で開かれたお茶のPRイベント。入れたての霧島茶を振る舞うと、多くの人が足を止めて味わった。会場に出されたのぼりに記されていたのが「祝 茶生産量日本一」の文字だ。

 収穫後に蒸し、もみ、乾燥を加えた茶葉で製茶前の原料を指す「荒茶」。この生産量について、農林水産省が2月に発表した数字が茶業関係者に衝撃を与えた。2024年産の鹿児島県が2万7千トン(前年比3%増)に対し、静岡県は2万5800トン(前年比5%減)。鹿児島が1959年の統計開始以来、初めてトップとなった。

 「静岡に追いつけ、追い越せと昔の人から教わってきたのでうれしい」。県内生産量の5割を占める南九州市で「知覧茶」を生産・販売する枦川(はしかわ)製茶の枦川克可(かつか)社長(45)は話す。

 亡き祖父がつくった知覧銘茶研究会の会長だ。濃くて甘みがある知覧茶は、いまや鹿児島を代表するブランドに成長した。枦川製茶のお茶は各種品評会で賞を受け、23年度の農林水産祭では最高賞の天皇杯に輝いた。

 半世紀前は静岡が圧倒的な産地で、お茶づくりをしていた祖父はお手本にしていた。「大事な一番茶の収穫の時期に茶工場を止めてまで、夜行列車に乗って勉強に行ったそうです」。静岡で学んだ技術を仲間と共有し、品質の良いお茶づくりに励んできた。「先人の苦労があっていまがある。祖父や(先代の)父には感謝しています」

枦川製茶の枦川克可社長。自社製のお茶の小売りもしている=鹿児島県南九州市知覧町

 日本一の背景には、平らで広大な茶畑を生かしたお茶づくりがある。品種が多いため、温暖な気候を生かして春の一番茶(主に急須で飲まれるリーフ茶)から、二番茶、三番茶、四番茶、秋冬番茶まで収穫期間が長いことが奏功した。

 そして、最大の要因はペットボトル飲料に使われる二番茶、三番茶の需要が好調だったこと。品質が高い一番茶は8450トンで静岡の1万トンを下回ったものの、二番茶以降で巻き返した。

静岡に響いた二つの「減」

 静岡側にしてみれば二つの「…

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