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 (13日、第107回全国高校野球選手権静岡大会2回戦 静岡東0―9静岡=七回コールド)

 二回表、静岡東の5番、杉山幸志朗主将に初打席が回ってきた。対するのは同じ静岡市内の強豪・静岡。「どんな形でもチームのためになるプレーをしよう」。2球目の直球を左前にしぶとく運び、チーム初安打を放った。

 昨夏、2年生ながら主軸に抜擢された杉山主将には苦い思い出がある。初戦の伊豆総合戦で1本の安打も打てずに途中交代し、チームもそのまま敗れた。「先輩たちの無念を晴らしたい」。そんな思いを胸に、主将として、主軸として、この1年、練習に打ち込んできた。

 今夏は初戦の伊豆中央に快勝し、シード校との対戦を迎えた。最も意識する学校の一つだ。静岡のエース左腕、吉田遥孔投手は右打者の内角に食い込むような「クロスファイア」で攻めてくる。これに対抗しようと、杉山主将はこの日はいつもより右打席の内側で構えた。だが、容赦なく内角に速球を投げ込んできた。

 二回の打席は、流し打ちを狙ったが引っかけてしまったという。それでも左前に運べたのは、昨夏の悔しさをバネに1年間、打撃を磨いてきたからだ。

 コールド負けを喫した後、杉山主将は「後輩たちには最後に笑って終われるように、全力でがんばってほしい」。雪辱は来夏に託した。

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