気象庁は5日午後1時45分、静岡県中部で竜巻などの激しい突風が発生したとみられる、と発表した。県内の自治体には、昼過ぎごろから突風に関連するとみられる被害の通報が相次ぎ、中部のほか、伊豆、東部、西部も同様に竜巻が発生するおそれが非常に高まっているという。
また、午後3時過ぎの気象庁の発表によると、茨城県北部でも竜巻が発生したとみられる。気象庁は、雷や急な風の変化など積乱雲が近づく兆しがある場合は、頑丈な建物内に移動するなど、安全確保に努めるよう注意を呼びかけている。
竜巻や突風で負傷か、約20人が病院に
突風によるとみられる被害で、自治体や警察は対応に追われている。
静岡県牧之原市によると、突風は午後1時ごろに同市細江地区で発生したとみられる。市は災害対策本部を立ち上げたほか、市内に防災無線で注意を呼びかけたという。同市に隣接する吉田町では、午後0時半過ぎに災害対策本部を設置。午後1時過ぎには、町内で火災が発生していることを確認したという。
県警によると、牧之原市で車の横転や電柱の倒壊などの通報が相次いでいる。「ガラスが割れて切り傷を負った人がいる」という通報もあり、牧之原署が調べている。
牧之原市の榛原総合病院には午後2時ごろまでに、竜巻や突風の影響でけがをした可能性がある人が20人ほど、搬送されたり自力で通院したりしてきたという。病院の担当者によると、午後0時50分ごろから院内が停電し、非常用電源を使ってしのいでいる状況だという。
たたきつける風雨 「洗車機の中のよう」
牧之原市の別の医院に勤務する大石美由紀さん(49)によると、正午ごろから風雨が医院の窓を様々な方向からたたきつけていた。「洗車機の中にいるみたいだった」
午後1時過ぎに風雨が落ち着いたのを見計らい、約1.5キロ離れた自宅の様子を見ようと、車で戻った。道にはどこかから飛んできた屋根瓦が散乱し、高さ2メートルほどの金網でできたゴミステーションが倒れていた。停電で信号機が止まり、ゆっくり走るほかなかったという。
大石さんによれば、牧之原市はもともと海に近く、風が強いエリア。数年前にも近くで竜巻が起きたことがあったが、「自分の住むエリアがここまでの惨状になるとは」と話した。