第50期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は21日、広瀬優一七段が山下敬吾九段に240手までで黒番12目半勝ちし、スコアを2勝3敗とし、リーグ残留に望みをつなげた。山下は1勝3敗となり、苦しくなった。
広瀬の好局だった。中盤の入り口で難解な読みを要する分岐点で積極策を採用。右下隅の黒地を相手に明け渡す代償に下辺の白の種石を取り、標的にさらされていた一団を安泰にした。これが好判断で、先手を取って攻勢に回り、上辺にぶっ通しの大地を築いて優勢に立った。
形勢容易ならずと見たか、山下は確定地とみられた上辺に突入。再び難解な読み合いになり、広瀬は突入してきた石を制する代わりに右辺にめいっぱいの白地を与えたが、一連の大変化で優勢維持を見極め、鮮やかに局面を収束した。
開幕勝利のあとの3連敗で土俵際に追い詰められていた初リーグの広瀬は、シードの山下を倒す下克上で残留への光明を見いだした。一方、15期連続21回目(名人在位含む)のリーグを戦う山下は、残留に黄信号がともった。