高齢者の憩いの場にもなっているソウル中心部の公園。高齢化で年金改革が争点になっている=2024年9月2日、安仁周撮影

 韓国で、2007年以来となる国民年金制度の改革が実施されることになった。尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が昨年12月に出した「非常戒厳」を受けて与野党の対立が深まったが、世界でも有数の速さで進む少子高齢化を背景に与野党が歩み寄ったかたちだ。ただ、年金制度の持続可能性をどう保つかという課題はなお残る。

 「急速に少子化が進んでいて、(保険料を納める)働き手がどんどん減っていく。自分が高齢者になったとき、年金を受け取れるのか、という不安があります」

 ソウルの大学院で学ぶ女性(27)は年金制度の先行きを危ぶむ若者の一人だ。40年代には日本を上回る「高齢国」になると見込まれる韓国。急速な少子高齢化で、現状のままでは将来、年金支払いの原資となる積立金の枯渇が懸念されるという状況で、年金制度の「持続可能性」についての不安が高まっている。

 そうした状況の中で3月20日、国民年金法の改正案が韓国国会で可決された。関連法令の整備などを経て26年1月から施行の見込みだ。国民年金の保険料率の引き上げという「痛み」を伴うが、支給水準はこれまでの想定より増やし、積立金が枯渇する時期も15年先に延ばせる、と韓国政府は説明する。

積立金が底をつく時期 15年間先延ばし

 国民年金は、23年末時点で…

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