ソウルで2025年1月10日、捜査当局に出頭し、記者団の取材を受ける大統領警護庁の朴鍾俊庁長。聯合ニュース提供=ロイター

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が出した「非常戒厳」をめぐり、尹氏への拘束令状執行を阻んだ大統領警護庁の朴鍾俊(パクジョンジュン)庁長が10日、大統領の権限を代行する崔相穆(チェサンモク)経済副首相兼企画財政相に辞表を提出し、受理された。

 朴氏はこの日、特殊公務執行妨害容疑での警察の3度目の要請に応じて出頭した。警察は3日に令状執行を阻んだ経緯などについて事情聴取している。

 令状の執行阻止を主導した朴氏の辞任で警護態勢に一定の影響が出るとの見方がある一方で、警護庁のほかの幹部らは警察の出頭要請に応じておらず、慎重な見方も多い。朴氏に代わり、トップの職務を代行する次長が11日の出頭要請に応じるかが、今後の警護態勢がどうなるかの焦点になりそうだ。

 朴氏は出頭に先立ち記者団に「現職大統領の身分にふさわしい捜査手続きが進められなければならない」と述べ、拘束令状の執行は正しくないとの考えを改めて示した。

 一方で、政府機関同士の物理的な衝突が起こらないよう崔氏に仲裁を建議したり、尹氏の弁護団に代案を求めたりしたとも主張した。

 朴氏は警察庁の次長を経て、朴槿恵(パククネ)政権下で当時の大統領警護室の次長を務めた。

 一方、尹氏の弁護団は10日に声明を出し、警察による警護庁幹部らへの出頭要請は「捜査権の乱用であり、不法であることが明白だ」として、中止するよう求めた。

 警察などの合同捜査本部は3日に大統領公邸の敷地内に入り、令状を執行しようとしたが、警護庁に阻まれた。昨年末に尹氏に発付された令状は今月6日に有効期限が切れたが、合同捜査本部は7日に裁判所から新たに令状発付を受け、執行の方法やタイミングを協議している。

 聯合ニュースによると警察は10日、首都圏の捜査責任者らを集めた。1千人規模の動員を準備しているという。

共有
Exit mobile version