韓国の最大野党・共に民主党は5日、「非常戒厳」を出した尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の弾劾(だんがい)訴追案を、7日の本会議で採決する方針を明らかにした。与党・国民の力は訴追案への反対を決めたが、尹氏への厳しい世論を背景に、与党から造反が出て可決に至るかどうかが焦点だ。
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野党6党が国会に提出した弾劾訴追案は、5日未明に本会議に上程された。尹氏が非常戒厳を出した行為が憲法に違反し、内乱未遂にもあたるなどの内容だ。法の規定では24~72時間以内に採決する必要がある。
可決には国会の在籍議員300人の3分の2の賛成が必要で、賛成に回るとみられる野党や無所属の192人のほかに、少なくとも8人の与党議員の賛成が必要になる。
国民の力は4日夜から議員総会を開き、党として訴追案に反対する方針を決定。韓東勲(ハンドンフン)代表は「混乱による国民と支持者への被害を防ぐため、通過しないよう努力する」と述べた。だが、尹氏に対する世論の批判は厳しく、造反が出る可能性もある。韓氏は一方で、尹氏に与党から離党するよう求めた。
これに対し、国会で過半数を占める共に民主党は5日、本会議を7日午後7時(日本時間同)から開き、弾劾訴追案を採決する方針を決めた。規定の上では6日未明から採決が可能になるが、与党議員らに賛成するよう働きかける時間を確保するのが狙いとみられる。
一方、尹氏は5日、非常戒厳の宣布を尹氏に建議したとされる金竜顕(キムヨンヒョン)国防相の辞任を認めた。野党側は、金氏に責任を押しつける「しっぽ切り」だと批判している。
非常戒厳を内乱罪に問う動きも進む。共に民主党は5日、韓国警察庁の国家捜査本部に対し、尹氏や金氏ら8人を内乱罪の疑いで告発。警察庁は金氏に対して出国禁止措置を取るよう指示した。