韓国・仁川の自宅を出発する際に支持者や住民にあいさつする革新系最大野党・共に民主党の大統領候補、李在明氏(中央)と妻の金恵京氏(右)=AP

 韓国大統領選が3日に投開票され、進歩(革新)系最大野党・共に民主党の李在明(イジェミョン)前代表(60)が当選を確実にした。KBSテレビなど複数の韓国メディアが伝えた。李氏は選挙戦を通じ、尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領による非常戒厳や、尹氏の弾劾(だんがい)・罷免(ひめん)に反対した保守系与党の候補を徹底的に批判。中道層を含む幅広い支持を集め、保守系からの政権交代を果たした。進歩系の政権誕生は約3年ぶり。

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 当確の知らせを受けた李氏はこの日の夜、自宅前で「私に与えられた大きな責任と使命を、国民の期待に反しないよう、最善を尽くして遂行していく」と述べた。

 中央選挙管理委員会の発表(4日午前0時25分現在)によると、李氏の得票率は48.84%。尹政権を支えた保守系与党・国民の力の金文洙(キムムンス)前雇用労働相(73)は42.73%、保守系野党・改革新党の李俊錫(イジュンソク)氏(40)は7.38%だった。

 韓国大統領の任期は5年だが、今回は2022年5月に就任した尹氏が昨年12月に非常戒厳を出して国会に弾劾訴追され、憲法裁判所が今年4月に罷免を言い渡したことに伴って実施された。

 最大の争点は、非常戒厳から尹氏の弾劾・罷免に至る過程と、それに伴う政治・社会の分断や混乱にどう向き合うかだった。

 李在明氏は「憲法秩序を破壊しようとした内乱勢力を審判する選挙だ」と主張。李在明氏自身が主導した弾劾訴追に反対した金氏や与党の議員らを非難したうえで、「国民に銃口を向ける軍事クーデターが繰り返されない国をつくる」と訴えた。

ソウルで2025年6月3日、韓国大統領選で喜ぶ李在明(イジェミョン)氏の支持者ら=AP

 また、党の路線を「中道保守」と称し、民生の回復、AI(人工知能)関連産業の育成、若者向けの雇用支援などを強調することで、中道層への支持の浸透も図った。

 一方、「反李在明勢力の結集」を掲げた金氏は、李在明氏が複数の刑事裁判を抱えていることなどを指摘し、「詐欺師や不正腐敗の人がいなくなれば国民統合ができる」などと批判を繰り返した。

 ただ、公認候補を選ぶ過程などで党内の足並みがそろわず、尹氏や非常戒厳への姿勢などをめぐる保守層内の葛藤や分裂を最後まで修復できなかった。

 20~30代の男性から主に…

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