大統領選の候補者討論会に臨む金文洙氏(左端)、李在明氏(右端)、李俊錫氏(右から2人目)ら=2025年5月18日午後7時37分、ソウル、東亜日報提供

記者解説 ソウル支局長・貝瀬秋彦

 「内乱の終息と危機の克服を渇望するすべての国民の候補としてこの選挙に臨む」。韓国大統領選の選挙運動初日の12日、進歩(革新)系最大野党・共に民主党の候補の李在明(イジェミョン)前代表(60)は、ソウル中心部で声を張り上げた。

 非常戒厳を出した尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領の弾劾(だんがい)・罷免(ひめん)に伴う異例の選挙ははや後半になり、投開票日が6月3日に迫る。

 選挙戦は尹氏の弾劾訴追を主導した李氏と、保守系与党・国民の力の金文洙(キムムンス)前雇用労働相(73)を軸に展開している。支持率でリードする李氏が、非常戒厳への批判を前面に出して政権交代を訴える。金氏は「反李在明勢力の結集」を掲げて追う形だ。

 23日夜の候補者討論会では、李氏が抱える刑事裁判を念頭に金氏が「詐欺師や不正腐敗の人がいなくなれば国民統合ができる」と述べると、李氏は金氏を「内乱勢力」と呼んで非難の応酬になった。

 背景には進歩系と保守系との間の深い対立・分断がある。

ポイント

 韓国大統領選は進歩(革新)系と保守系の分断や、保守の内部分裂のなか争われる。候補者に問われるのは「非常戒厳」への向き合い方と「国民統合」に向けた意思だ。北朝鮮への政策では違いが際立つが、日本との関係では協力重視の姿勢がうかがえる。

 尹氏は昨年12月に非常戒厳…

共有
Exit mobile version