ソウルで2024年4月10日、出口調査の結果を見て握手を交わす野党・共に民主党の李在明代表(中央)=東亜日報提供
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 韓国総選挙(定数300)が10日、投開票された。公共放送KBSなど現地の主要メディアは同日夜、出口調査の結果をもとに進歩(革新)系最大野党・共に民主党が過半数を大きく上回る議席を獲得するとの見通しを伝えた。尹錫悦(ユンソンニョル)政権の求心力低下は避けられず、関係改善が進む日韓関係にも影を落としかねない。

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 総選挙は小選挙区(254議席)、比例代表(46議席)で争われた。今回の総選挙は、5月で就任から2年となる尹政権の「中間評価」とされ、選挙結果が今後の政権運営に影響を及ぼす可能性が大きい。国民の力を率いる韓東勲(ハンドンフン)・非常対策委員長は10日夜、「最善を尽くしたが、出口調査の結果にがっかりしている」と述べた。共に民主党の李在明(イジェミョン)代表は、出口調査の結果を受けて党幹部と握手を交わした。李氏は「国民の選択を謙虚な気持ちで見守りたい」と語った。

 改選前は、共に民主党が156議席(系列政党を含む)で単独過半数を占める一方、与党・国民の力は114議席(同)。尹氏の支持率が30%台に低迷するなか、「ねじれ状態」が解消されるかが焦点だった。選挙戦は与野党が互いに激しく批判する展開となり、政策論争は深まらなかった。

 公共放送KBSは10日深夜、共に民主党が180前後の議席を獲得するとの予想を伝えた。共に民主党を中心とした野党勢力が180議席を得れば、国会で与野党の「対決法案」を迅速に処理できる制度が使える。3分の2にあたる200議席を獲得すれば大統領の弾劾(だんがい)訴追案や憲法改正案を可決できるほか、大統領が拒否権を行使した法案の再可決ができるようになる。

 現地メディアの予測どおり、共に民主党が大勝したとしても、対日関係の強化を進める尹氏の外交方針は揺らがないとの見方が有力だが、韓国社会には、尹政権が政治決着を図った元徴用工訴訟などの問題で日本に譲歩しすぎているとの不満もあり、野党側が政権批判を強める可能性がある。

 中央選挙管理委員会によると、投票率は67・0%(暫定値)と、4年前の前回の66・2%を上回った。事前投票率は過去最高の31.3%を記録し、有権者の関心の高さを示した。(ソウル=太田成美)

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