尹錫悦大統領の弾劾審判で2025年2月20日、証言する韓悳洙首相(手前左)。憲法裁判所提供=ソウルの憲法裁、東亜日報提供

 韓国の憲法裁判所は24日午前、韓悳洙(ハンドクス)首相に対する弾劾(だんがい)訴追を棄却した。韓氏は、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が「非常戒厳」を出した際の首相としての対応や、尹大統領が弾劾訴追された後の権限代行としての行為の違憲・違法性が問われていた。韓氏は職務停止が解かれ、大統領の権限代行に復帰する。

 韓氏は尹大統領が昨年12月14日に国会で弾劾訴追され、職務停止になったことに伴い大統領の権限代行に就いたが、自らも同27日に国会に弾劾訴追された。

 野党議員らで構成する訴追団側は、韓氏が首相として尹大統領の非常戒厳宣布による「内乱行為」を少なくとも黙認したと主張。大統領権限代行に就いた後には、欠員だった憲法裁の裁判官3人の任命を違法に拒否したなどと指摘していた。

 憲法裁での弾劾審判では定数9の裁判官のうち6人以上の賛成で罷免が決まる。尹大統領の弾劾審判にあたり、3人欠員の状態では全員の賛成が必要となるため、野党側が速やかな補充を要求。韓氏が保留という形で事実上拒否したため、反発した野党による弾劾訴追につながった。

 韓氏は弾劾審判で、自身は非常戒厳の宣布に反対したなどとし、弾劾訴追には理由がないと主張していた。

 韓氏に対する弾劾審判の論点は、近く示されるとみられる尹大統領の罷免の可否に関する論点と一部が重なり、憲法裁の判断が類推できる可能性もあるため、注目されていた。

 韓氏の復帰で、崔相穆(チェサンモク)経済副首相兼企画財政相が大統領の「代行の代行」を担う異例の体制は終わることになる。憲法裁は尹大統領への宣告期日をまだ示していない。

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