各地の学校の吹奏楽部員が、練習のすべてを一度きりの本番にぶつける吹奏楽コンクール。いよいよ、緊張のステージへ……。
そんな時に限って、思いもしないトラブルが起きることがある。そう、楽器の不調だ。
そこに、危機を救ってくれる「かかりつけ医」のような存在がいる。
泣きじゃくる生徒、「1分」の技で…
兵庫県尼崎市の「福永管楽器」は、県内で開かれるコンクールなどの会場に、楽器修理の専門スタッフを待機させている。福永一矢さん(52)が父から受け継いだ管楽器の修理の専門店だ。
出番まであと数分、そんな緊迫した依頼もあった。
ある年の兵庫県大会では「次が出番」で舞台袖にいた学校のファゴットが倒れ、音が出るベルの管が抜けてしまった。前の学校は課題曲の演奏を終え、もう自由曲が始まっている。
普段は会場内に設けた「修理…