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飲酒運転の車にはねられ、亡くなった井野真寿美さん=遺族提供

 富山市で昨年3月、飲酒運転の車にはねられて亡くなった井野真寿美さん(当時62)は、ミュージシャンとしてCDを出し、月1回のライブ活動を続ける一方、子どもらにピアノを教える教室も開いていた。

 「富山で音楽をしていたら知らない人はいないくらい、顔の広い人だった。みんなから好かれていた」。音楽仲間の金山隆悦さん(68)は話す。教え子の演奏の様子がYouTubeで人気を集めると、「うれしいわあ」と目尻を下げて笑っていたという。

【動画】昨年3月、飲酒運転の車にはねられ亡くなった井野真寿美さん。富山市を拠点にミュージシャンとして活動していた。

 母親として、1人で子ども2人を育てた。

 長男の中田康介さん(36)は「子どもの頃はわからなかったけれど、仕事をするようになって母の音楽への熱い思い、こだわりがわかった」と話す。長女の広瀬すみれさん(32)は「友だちのように何でも話せる仲だった。お互い尊敬し合って頑張ってきた」と思い出す。

 井野さんは昨年3月、横断歩道を横断中に車にはねられ、亡くなった。車を運転していた男(43)は道路交通法違反(酒気帯び)の疑いで現行犯逮捕され、同6月、過失運転致死容疑で書類送検された。富山地検が捜査を続けている。

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 中田さんと広瀬さんは、母親の命を奪った飲酒運転が「過失」となることに、納得がいかない。交通事故に詳しい高橋正人弁護士(第二東京弁護士会)に相談し、「危険運転致死罪」での起訴を検察庁に求めるため、署名活動を通じて社会に訴えることにした。

 「飲酒による死亡事故が危険…

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