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 音楽ライブ・コンサートの首都圏一極集中が強まっている。2020年ごろから1万人前後が入れる大規模アリーナの新設が相次いだことが大きい。「推し活」の一環として遠方から公演に駆けつけるファンが増えたことや、人件費の上昇などで地方公演の採算が厳しいことなども背景にある。二極の一つとされる関西圏も危機感を強めている。

 気温30度超、照り返す暑さをものともせず、人波が押し寄せ続けた。6月29日午後、横浜市中心部のみなとみらい地区にある「Kアリーナ横浜」。ロックユニットB’z(ビーズ)とONE OK ROCK(ワンオクロック)が共演したこの日は、開演の数時間前からライブ公式グッズのTシャツやタオルをまとい記念撮影をするファンが会場周辺にあふれた。

 福島県から朝やって来たという男性(20)は、「(二つのロックユニットの)共演と聞いて行くしかないと思った。むちゃくちゃ楽しみ」。鹿児島市の40代女性は、前週末の21、22両日のB’zのライブに続いての横浜入り。「また来ちゃいました」。友人とともに会場へ急いだ。

 国内の音楽ライブ・コンサート市場が拡大を続けている。業界団体「コンサートプロモーターズ協会」(ACPC)によると、国内で24年に開かれたライブ・コンサートの総売上高は前年より981億円増の6121億円、入場者数は306万人増の5938万人だった。

ライブ・エンタメ市場が拡大している

 いずれも、コロナ禍の一時的な落ち込みを除き、2000年代からほぼ右肩上がりだ。

らら、BUNTAI、ぴあMM…新アリーナ続々

 24年の公演数は実は前年より約300本少ない3万4251本だった。それでも入場者数が伸びたのは、20年以降に5千~2万人が入れる大規模アリーナが首都圏を中心に開業し、アリーナ公演で前年より520万人増えたことが大きいという。

ららアリーナ東京ベイ=2025年6月30日、千葉県船橋市、野口陽撮影

 23年の2万人規模のKアリーナに続き、24年には「ららアリーナ東京ベイ」(千葉県船橋市、1万人)、「横浜BUNTAI」(横浜市、5千人)が開業。20年以降に首都圏にできた「ぴあアリーナMM」(横浜市、1万2千人)、「東京ガーデンシアター」(東京都江東区、8千人)、「有明アリーナ」(同、1万5千人)を加えた6会場で、24年の全国のアリーナ公演の4分の1にあたる約640公演が開かれた。

 24年の入場者数を都道府県…

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