地球上には全部で14座の8千メートル峰がそびえている。写真家の石川直樹が10月、中国にあるシシャパンマ(8027メートル)の登頂に成功し、全14座の完登を達成した。2001年には7大陸最高峰登頂に当時世界最年少(23歳327日)で成功し、現在47歳。今回の14座制覇に「『登頂』ということの本質、意味を考えるきっかけになれば」との思いを込める。
「頂上」とは、「登頂」とは何か。
世界の登山界に、そんな議論が投げかけられたのは数年前のことだった。きっかけはドイツの山岳史家、エバハルト・ユルガルスキーが運営するウェブサイト「8000ers.com」。
航空写真などから頂上の位置を従来より正確に特定した上で、登頂写真の背景などを詳細に調べたところ、意図的でないものを含め、結果的に8千メートル峰の「真の頂上」に立っていなくても、「登頂」としているケースが見つかった、とした。
ユルガルスキーは研究の一部…