順天堂大医学部付属病院で内視鏡検査を受けた後に死亡した女性患者(当時72)の遺族5人が、学校法人順天堂や医師に約2億円の賠償を求めた訴訟の判決が18日、東京地裁であった。一場康宏裁判長は病院側に約6200万円の支払いを命じた。
判決によると、女性は2020年5月、自己免疫性肝炎と同院で診断され、21年2月に胆管の内視鏡検査を受けた。検査直後から腹部の強い痛みを訴え、急性膵炎(すいえん)を発症して2日後に死亡した。遺族側は、医師が検査による死亡リスクを全く説明しなかったなどと主張していた。
判決は、女性に検査を説明した際の録音データなどから、医師は「胃カメラのようなもの」などと述べて検査のリスクを十分に説明しなかったと認定。女性は日常生活に支障がない程度の病状で、適切な説明があれば検査を見送った可能性が高いとして、説明不足と死亡との因果関係を認めて賠償を命じた。
病院側は「主張が認められず残念だが、亡くなられた患者様へは心より哀悼の意を表します。今後の対応は回答を控えます」とコメントした。