その一報は、突然だった。
3日午後、中国海警局のヘリコプターが沖縄県の尖閣諸島周辺の日本領空を侵犯した。同日夜の防衛省の発表は、ごく短いものだった。
「3日12時21分ごろから36分ごろにかけて、尖閣諸島周辺の我が国領海に侵入した中国海警船(2303)から発艦したヘリコプターが飛行していることを、海上保安庁巡視船が確認した。これに対し、自衛隊は航空自衛隊南西航空方面隊の戦闘機を緊急発進させ、対応した」
中国海警局のヘリによる尖閣周辺の領空侵犯は初めてだった。日本の主権に対する明らかな挑戦に、外務省も中国側に厳重に抗議するなど素早く動いた。
一方、日本側の発表からは見えない動きがあった。緊迫した現場に「前段」があったことを伝えたのは、中国側だ。
「12時19分に日本の民間…