小泉恭子さん

 力強い歌声を影絵のようなシルエットを通して表現する歌手のAdo。「仮面」をつけているかのように顔を見せないが、だからこそ、音楽そのものの力が聞く人の心に強く迫るのか。中央大学兼任講師で、音楽社会学が専門の小泉恭子さんに聞いた。

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 観客に顔を見せず、声と影絵のようなシルエットだけで表現する歌手のAdo。昨年の紅白歌合戦でその姿を見た人も多いかもしれません。あのシルエットも一種の「覆面」と言えないでしょうか。

 顔が見えないと、聞き手はおのずと音そのものに集中し、音楽がより強く心に響くでしょう。Adoの場合、ロックやパンク、ジャズのような多様な曲調に、その都度、憑依(ひょうい)する巫女(みこ)のような感じがします。私には、異星から来たロックスターを含め、様々なペルソナを演じたデビッド・ボウイと重なって映ります。

 場の空気に合わせて笑顔や悲…

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