いわき信用組合の本店=2025年5月7日、福島県いわき市、沢伸也撮影

 預金者の名義を無断で使って別の口座を作った疑いのあるいわき信用組合(福島県いわき市)が、預金者の定期預金を担保にして無断で融資する形で、資金を流出させていた可能性があることが関係者の話でわかった。保証人を立てた架空融資が判明していたが、預金を担保にする手法もあったという。

 同信組が設置した第三者委員会は、預金担保の架空融資を把握し、流出した資金の使途などを調べている模様だ。

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 同信組では、2024年秋時点で約90口座、計17億円超と記された架空融資のリストが確認されている。無断で用意した預金者名の印章を使って口座開設書類を偽造し、その口座に数百万~数千万円ずつ融資する形で資金を流出させる手法で、同信組内で「B資金」と呼ばれている。B資金の大半は保証人だけを付けた無担保融資で、経営難の大口取引先の返済肩代わりなどに使っていたという。

 複数のいわき信組関係者によると、同信組では保証人を付けるB資金のほかに、預金者の定期預金を担保に入れた架空の融資が行われていた。架空融資の書類には、偽造された預金証書が添付されたケースがあったという。

【動画】元職員の男性が取材に応じた

 定期預金の証書は通常、融資の実務を担う支店が発行する。支店にいた元信組職員は取材に「東日本大震災後から2014年夏前まで、預金担保の架空融資の手続きをした。融資書類に付けられた預金証書の文面は字体が違っており、本店が偽造したと思う」と証言。別の信組関係者は「信組の幹部も定期預金を担保にした架空融資はまずいとして、多くは取り消してきたと聞いた」と話す。

返済されない場合、差し押さえの恐れも

 同信組は東日本大震災対応で…

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