多額の負債を抱える飛驒酪農農業協同組合(岐阜県高山市)は20日、長く親しまれた「飛驒牛乳」ブランドの商品製造を終えた。組合は今月末で解散する予定。19日夜には、市民たちが飛驒牛乳を使うカクテルを味わい名残を惜しんだ。
高山市新宮町の工場では20日、早朝から学校給食用や地元向けの「飛驒高原牛乳」など8種類のパック牛乳が次々に製造された。
殺菌工程を担当していた男性職員(52)は「長年続いた飛驒牛乳がなくなるのはさみしい」。
建物内には、「秋葉原駅(東京)のミルクスタンドで買うのが楽しみだった」といったはがきや手紙が張り出された。
岩長明宏組合長は「寂しさと申し訳なさと。いろんな思いがあります」と取材に話した。組合は31日に解散し、翌日にも岐阜地裁高山支部に破産を申し立てる方針。
19日夜、「飛驒牛乳ラストナイト」と銘打つイベントが高山市中心部の飲食店で開かれた。
組合の工場で使われる生乳の半分ほどを生産する同市の酪農家、足立松吾さん(38)が企画。約30人が飛驒牛乳を使ったカクテルやコース料理を味わった。
参加した女性(51)は「子どもの頃から牛乳といえば飛驒牛乳。思い出はいっぱいあります」と杯を重ねた。