映画「母と子の絆 カネミ油症の真実」に登場するカネミ油の写真=タキオンジャパン提供
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 国内最大規模の食品公害について伝える記録映画「母と子の絆 カネミ油症の真実」が、10月から関西を皮切りに劇場で公開される。国や原因企業による救済が不十分だと訴え、子や孫への影響を心配し続ける親たち。そんな姿を前にした監督が、今も苦しむ人や研究者らの証言を一つひとつ集めた。

 1968年、カネミ倉庫(北九州市)製の食用の米ぬか油にダイオキシン類が混入する「カネミ油症」が発覚した。皮膚や内臓の疾患、全身の倦怠(けんたい)感などの被害の訴えは、長崎県や福岡県など西日本一帯から約1万4千人に上った。

 だが、厚生労働省によると、今年3月末時点の認定患者は累計2377人。患者と認定され、カネミ倉庫から見舞金などを受け取るには、血液中の汚染物質の濃度が一定基準を超えなければならない。症状を自覚していても認定されない人たちが国や企業に対し、救済を求めている。

 今回の映画を制作・監督した稲塚秀孝さん(74)はこれまで、広島と長崎で二重被爆した人や東京電力福島第一原発事故に遭った人たちなどを主人公に映画を作ってきた。

 カネミ油症との出会いは20…

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