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一般社団法人「全日本視覚障害者協議会」の山城完治代表理事(右)と、藤野喜子さん。ともに視覚障害がある=2024年6月3日午後2時45分、東京都豊島区駒込、寺島笑花撮影
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 専用端末やスマートフォンを使った注文の仕組み「セルフオーダーシステム」を導入する飲食店などが増え、視覚障害のある人が店を利用しづらくなっている。人手不足やコロナ禍を背景に急速に広がった仕組みに対応が追いついていないという。

 「以前は席に着きさえすれば食事ができた。今では1人で店を利用できなくなってしまいました」。生まれつき強度の弱視の山城完治さん(68)は2月、東京都内の牛丼チェーン店を利用した。

 店は、発券機で商品を注文後、自分で席を選んで座り、カウンターに商品を取りに行くシステム。入り口付近に店員はおらず、注文のシステムが分からない。客の声や機械音から推察し、なんとか発券機までたどりついた。

 だが、タッチパネル式では、メニューも値段も分からない。近くの客の手を借りたが、時間を取らせるのが申し訳なく、最初に読み上げてもらったメニューを頼んだ。

タッチパネルでようやく注文 ロボットの配膳で受け取りに苦労 

 近所にあるファミリーレストランも、各席にタブレット端末を導入。店員を呼ぶボタンも席から無くなったため、声で店員を呼び、注文を手伝ってもらうしかなくなった。

 注文した商品を運ぶのも、店員ではなくロボットに。ロボットが発するメロディー音は聞こえるが、どの位置にいるのかよく分からない。商品を受け取るのも一苦労だった。

 飲食店によっては、メニューの読み上げ機能がある場合もあるが、端から読み上げられて時間がかかる上、どこを押せば注文が完了するのかなど、使い方がわかりづらいという。

 ある居酒屋では、店員の数が減り、店員にメニューの読み上げやトイレへの案内を頼んでも、断られることもあったという。

 山城さんが代表理事を務める一般社団法人「全日本視覚障害者協議会」にも最近、同様の相談が数多く寄せられているという。

今年4月に法改正 店側は「合理的配慮の提供」が義務に

 5歳で全盲になった藤野喜子…

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