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皇室のゆくえ

 衆参両院議長のもとで進む皇族数確保のための与野党協議は、憲法学者の目にはどう映るのか。皇室に関わる政府の有識者会議や、与党の会議などで専門家として招かれてきた憲法学者の大石眞・京都大学名誉教授(73)は今年に入って示された「内閣法制局の見解」を驚きをもって受け止め、局面の変化を見て取る。

――年明けからの協議をどうみていますか。

 「政府や与野党が少しずつ知恵を出し合い、建設的な議論が出来始めているのではないでしょうか」

――公開された議事録を読むと、内閣法制局が与党の案に「お墨付き」を与えるための説明を繰り返しているようにも見えます。

 「そもそも内閣法制局は政府機関であり、事前に内部で協議を重ねている。こういった場で、政府・与党の方針に全く沿わないような理屈を持ち出すということは構造上あり得ません」

 「ですから、たとえそうだとしても、過去の見解との一貫性や歴史的経緯との隔たりを最小限にするなど『それなりに筋を通して欲しい』という話なのだと思います」

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大石眞・京都大名誉教授

――皇族数確保のための養子案は与党だけでなく、維新など一部の野党からも積極論が聞こえます。ただ、養子の対象を「戦後離脱した旧11宮家の子孫だけ」とする理由の一つについて、皇室の専門家らからは〝理由になっていない〟との指摘が出ています。

世の中に存在し得る天皇の血を引く「男系男子」の中から、養子の対象を旧11宮家に絞り込むことについて、政府有識者会議や内閣官房は「(1947年施行の)現憲法下で皇位継承権を有していた」ことを理由に挙げ、内閣法制局もこれを踏まえ、憲法違反には当たらない、と説明。ただ、皇室の専門家は、旧11宮家の離脱は、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)との折衝により、憲法施行後までずれ込んだに過ぎないと批判する

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