広島に原爆が投下されて79年。1945年末までに14万人の犠牲者が出た「被害」の地でこの春、その「加害性」を問い直す市民らの研究会が立ち上がった。手がかりとするのは、女性史研究家・加納実紀代(1940~2019)が残した「被害と加害の二重性」という言葉だ。
加納は銃後史を主なテーマとした。日本の植民地支配下にあった現在のソウルに生まれ、広島市にいた5歳の時に被爆。その体験を著書「女たちの〈銃後〉」(インパクト出版会)に書いている。
原爆投下後の広島で、炊き出しのおにぎりを受け取りに行く道中、黒こげで首のない死体にどれだけ出くわさずにすむかが日々の遊びとなった。
5個以上見てしまったらペケ、1個も見ずに帰れたら二重マル――。
後に、その頃の自分に〈罪〉の意識を感じ始める。この「死体遊び」は、〈極限の被害における小さな加害者〉として自身を位置づける原体験となった。
後年、女性たちが軍に強制さ…