訪米中の岸田文雄首相は12日、南部ノースカロライナ州でトヨタ自動車が建設する車載電池工場を視察し、日本企業による米経済や雇用への貢献を強くアピールした。一方、11月の大統領選でトランプ前大統領が返り咲けば、合意した経済協力の大前提である「脱炭素」をひっくり返されるリスクも抱える。
日米・日米比首脳会談などをこなした首相は11日夜、首都ワシントンからノースカロライナ入り。記者団に「日本企業がいかに米国経済に貢献しているのか、これを自ら確認するとともに発信する機会にしたい」と意気込んだ。
視察先のトヨタ工場は2025年の稼働が見込まれ、脱炭素の切り札として各社がしのぎを削る電気自動車(EV)などに載せる充電池をつくる。首相はクーパー州知事らとともに、整備予定地や建屋を視察。工場への総投資額が約140億ドル(約2兆円)にのぼり、5100人の新規雇用が見込まれるといったトヨタ側の説明に熱心に耳を傾けた。首相はその後、ホンダの小型ジェット機「ホンダジェット」を生産する同州内の工場も視察した。
防衛費の大幅増などで米国の…