石破茂首相が今年1月に続き、東南アジアを訪問し、28日にベトナムで首脳会談を行いました。29日にはフィリピンで同国のマルコス大統領と会談します。「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を掲げるトランプ米政権の復権で国際秩序が揺らぐ中、今回の首相の東南アジア訪問の意義とは何でしょうか。東南アジア政治に詳しい神戸市外国語大の木場紗綾准教授に聞きました。

トランプ関税の影響は?

――ベトナムは、トランプ米政権から46%の「相互関税」の対象とされました。ベトナムには多くの日本企業が進出しており、影響が懸念されています。

 経済の急成長が続く東南アジアの中で、ベトナムは多角的な自由貿易によって利益を得てきた国の一つだ。米国の関税措置をきっかけに自由貿易体制が揺らぎかねない現状への危機感は強いだろう。東南アジアの国々が加盟する地域的包括的経済連携(RCEP)や、環太平洋経済連携協定(CPTPP)といった経済の枠組みは今後、米国抜きでも成り立つ貿易圏としての重要性が高まる可能性がある。経済面で結びつきが強い日本とベトナムの首脳会談は、こうした国際的な経済連携強化の第一歩になりえる。

 東南アジアでは、マレーシア…

共有
Exit mobile version