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写真・図版
木村隆二被告=2025年2月4日、和歌山地裁、絵・岩崎絵里

 子どもたちのために……。捜査段階で黙秘を貫いた25歳の被告は、事件前に描いていた将来の夢を法廷で語り始めた。

 若者の純粋な思いは、なぜ現職首相を狙った「テロ」(検察側)へと変容していったのか。専門家は、前年に起きた安倍晋三・元首相銃撃事件を重ね合わせたのではないか、とみる。

栄養士をめざす中で気づいたこと

 今月6日の和歌山地裁。和歌山市の選挙演説会場で2023年4月、当時の岸田文雄首相の近くに爆発物が投げ込まれた事件の被告人質問があった。

 殺人未遂などの罪に問われた木村隆二被告は、黒いジャケットと黒のズボン姿で法廷に現れ、証言台の前に座る。

 弁護人からの質問に答える形で、政治に関心を持ったいきさつを語った。

 高校卒業後、進学した専門学校では栄養士を目指すコースを選択。栄養教諭になろうと、大学の通信課程も受講した。

 専門学校で学んでいた時だった。「日本と世界中の子どもたちの栄養が十分でない」ことを知ったという。

 「まずは日本の子どもたちに、栄養を十分に届けるにはどうすればいいか」

 そう考えた木村被告が志したのは、政治家だった。

 参院選の出馬を目指した。だ…

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