東京電力福島第一原発事故で生じた除染土について、原発が立地する町の町長が再生利用の意向を表明した。福島県内外で再生利用への反対は強く、法律で決まった福島県外での最終処分が見通せない中、町長が語った狙いは、かつて電力を送っていた「首都圏の人たちの理解醸成」だった。
- 福島・双葉町長 除染土の再生利用意向、「首都圏の理解進まず発言」
「福島第一、第二原発のエネルギーを使っていた首都圏の皆さんの理解が進んでいない危機的な状況を考えた」
福島県双葉町の伊沢史朗町長は24日、県内外で反対される除染土の再生利用を町が率先して引き受ける「私見」を表明した狙いを記者団に説明した。
原発事故の前に町では約7千人が暮らしていたが、いまは180人ほど。原発が立地する町と大熊町には東京ドーム11杯分の除染土が保管され、復興を遅らせる一因となっている。
環境省が2022年末、首都圏で除染土の再生利用の実証事業を計画したが、反対運動が起きた。伊沢町長によると、「福島で利用しないのに、なぜ首都圏が受け入れるのか」という声も聞き、「『そうだな』と思った。首都圏の理解を進めるには、まず福島県内で取り組む必要がある」と考え、今回の表明につながったという。
「これからの話」県内首長ら 県幹部は不快感も
除染土は法律で45年までに県外で最終処分されることが決まっているが、総量を減らす再生利用を県内で進めるという議論はなかった。今回の突然の表明を、福島県内の首長たちはどう受け止めたのか。
双葉町と同じく同原発と中間…