インバウンド需要が高まるなか、駅の電光掲示板では、電車の行き先が様々な言語で表示されるのを見かけるようになった。ネット上では「日本人が利用しづらい」などと否定的な意見もあるが、実情はどうなのか。駅を歩いてみた。
「正直邪魔」「うっとうしい」「日本語と英語だけでいい」。英語、中国語、韓国語を含めた多言語表示に対し、ネット上では、こうした批判も飛び交う。特定の外国語表記を指して「迷惑だ」というSNSの投稿もあった。
記者は2月下旬、東京・池袋駅を訪れた。東武東上線の改札にある電光掲示板では、行き先の表記が秒単位で変化していた。日本語10秒→英語8秒→中国語4秒→韓国語4秒と流れ、1周するのに26秒かかる。
東武鉄道は多言語表示にした理由について、「外国のお客様もいるため」と説明する。SNS上での批判的な意見に対しては「案内の参考にさせていただく」という。
利用客にも尋ねてみた。
「丁寧で良いと思う」
通勤のために週1~2回、東武東上線を使うという20代男性は「時間の確認のために電光掲示板はよく見る」と言う。多言語表示については「気にならないですね。英語も読めるし、漢字も読めるので」。
別の50代女性会社員も「英語と言ってもローマ字じゃないですか」と笑う。「日本の電車(の運行系統)は複雑。いろんな国の人が使いやすく、丁寧で良いと思う」と話す。
首都圏のある鉄道会社で働く男性(23)は「わずかな時間で情報を得たいという人の気持ちは理解できる」と言う。日本の鉄道は「世界一の定時運行」と言われるほど時間に正確で、多くの人がその時間に合わせて行動しているからだ。
ただ、それでも多言語表示は必要だと言う。駅員の人員削減が進むなか、案内が読めない人からの相談が押し寄せると、対応しきれない懸念があるからだ。「駅員を増やして対応することになれば、鉄道会社の経営を圧迫し、運賃アップの一因につながりかねない」と話す。
鉄道各社の取り組みは
交通エコロジー・モビリティ…