郡上鹿ジビエカレーと郡上鹿ジビエカレーパン=2025年7月7日午後1時37分、岐阜県郡上市役所、松永佳伸撮影

 管理栄養士を目指す東海学院大学(岐阜県各務原市)の学生が、郡上市内で獣害対策として駆除された鹿肉を使ったレトルトパウチのジビエカレーと冷凍のジビエカレーパンを考案した。昨年、先輩たちが商品化した「ジビエフランク」に続く第2弾。学生は「害獣をマイナスからプラスの存在にしたい」と意気込む。

 同大学では2年前から、高齢化による深刻な後継者不足に直面している郡上市白鳥地区にある六ノ里棚田の保全活動に参加している。

 医療栄養学科の学生たちは毎月のように現地を訪れ、田植えや稲刈りなどを体験。収穫した棚田米を使ったポン菓子や甘酒をつくり、イベントなどで販売してきた。

 活動を通して、棚田の周辺ではシカによる農作物の被害が深刻化していることを農家から聞き、駆除した鹿肉に付加価値をつけようと、先輩たちが地元企業と協力してジビエフランクを開発した。

 鹿肉が入手できるのは狩猟期間の冬場に限られる。学生たちは、継続して食べられる商品として、長期間保存ができ、防災食にもなるレトルトパウチのカレーづくりを思いついた。

 協力を求めたのは、岐阜市のインド料理店「ラサマンダ」。経営者の村瀬嘉代さんも、ジビエカレーをつくるため、郡上産の鹿肉の入手先を探しているところだった。

 東海農政局やJAぎふなども協力し、産官学連携の取り組みに発展した。

 学生たちは、栄養学の観点から1日に必要な野菜摂取量の3分の1以上が1食でとれるように、学生たちが栽培した「各務原にんじん」のほか、タマネギやトマトなどをたっぷり使用したレシピを考えた。

 鹿肉は鉄分が豊富で、カレーに使うスパイスやハーブによって臭みが消え、香ばしさが食欲を誘い、夏バテ防止にもなるという。アレルギーも意識し、カレーには小麦粉を使っていない。賞味期限は1年間。

 学生たちと何度も試作を繰り返した村瀬さんは「肉の食感を残し、辛めの味に仕上げた。栄養満点で癖になるおいしさ」と胸を張る。

 完成したレトルトカレーは、スーパーの「北野エース」で8月上旬から販売が始まる。1人前1200円(税別)。カレーのルーを入れた冷凍のカレーパンも順次販売する予定で、同大学のキッチンカーでも提供するほか、郡上市内の道の駅での販売も目指している。

 7月7日には同市役所で報告会を開催し、山川弘保市長らが試食をした。

 商品を開発した郡上市出身の森島愛華さん(4年)は「レトルトにしても味や色が変わらないようにするのに苦労しました。価格も味も大人向けの鹿肉インドカレーです」とPRする。

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