Smiley face
写真・図版
「もっと教えて!ドラえもん」サムネイル用イラスト

 世界最高峰(ほう)のエベレストは8848メートル。日本一の富士山は3776メートル。こうした高い山の標高の測り方は時代とともに変わってきているよ。近年は技術の進化で「真の山頂はどこか」という論争も起きているんだ。

 標高は長い間、人の力で測ってきた。3メートルほどの物差しを2カ所に立て、高低差を読み取ることを繰(く)り返す「水準測量」が基本だ。でも、国土地理院によると、4人の作業員が水準測量で観測できるのは1日平均4キロ分。日本全国を測るには10年以上かかる大変な作業だ。

 一方で、標高は地殻(かく)変動によって少しずつ変化する。地震(しん)の多い日本は特に影響(えいきょう)が大きく、活火山の一つである小笠原(おがさわら)諸島の硫黄(いおう)島はこの10年で7メートルほど隆(りゅう)起した。

 そこで最近使われているのが人工衛星を使った観測だ。全国約1300カ所に「電子基準点」を設置し、衛星からの信号を受信して精密な高さを出す。国土地理院は今年4月、このデータを基準にした新たな標高に変えた。富士山山頂にある三角点の高さは3775・51メートルから3775・56メートルへ、5センチ高くなったんだ。

 エベレストも何度も測量されてきた。インドが1954年に測量した結果が8848メートルだったが、99年に米国の団体が全地球測位システム(GPS)で調べて8850メートルと発表した。中国とネパールが再測定し、2020年に8848・86メートルと発表した。15年の地震で高さが変わった可能性が指摘(てき)されていたんだ。

 近年はドローン技術の発展もあり、そもそも山頂がどこか、という論争もある。世界にはエベレストのような8千メートル峰が14座あるが、頂上の位置を正確に特定したところ、すべての登頂に成功したとされる登山家たちでも、「真の頂上」には立っていない人が多いという検証が22年に公開された。例えば世界で8番目に高いマナスル(8163メートル)は頂上の数十メートル手前に「頂上のような場所」があり、そこを山頂と思ってしまう登山者が少なくないんだって。

共有