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宮崎県

 宮崎県立高校で2022年、部活動内でいじめを受けた生徒が不登校となり、適応障害の診断を受けた重大事案があり、県教育委員会は第三者委員会による調査報告書を公表した。学校側の認知が1年後になったことを受け、早期の対応が不十分だったと指摘した。

 9日に公表された報告書によると、被害生徒は22年4月に入学。部活動に入って間もなくいじめが始まった。大会の宿泊中に同級生部員から「風呂に入れ、洗濯しろ、汚い」などと言われたり、就寝中に足で蹴られたりした。

 また、同級生がお湯の掛け合いをしていたことを顧問教諭に報告したところ、同級生から「チクリマン」と言われるようになった。9月から不登校となり、翌月に適応障害の診断を受けた。

 学校は23年4月にいじめを認知。顧問や加害生徒らが謝罪をしたが、生徒側は「内容がずれて誠意を感じない」と思い、学校に「いじめが原因で精神的な疾患になったことについて認め謝罪をして欲しい」と要望した。

 学校は「いじめと精神的な病気の因果関係は認められない」「既に謝罪は済んでいる」などと回答。生徒の保護者は24年3月、県教委に調査を依頼した結果、重大事態と認定された。生徒は2年に進級しても登校できない日が重なり、同年4月からは1年生をやり直した。

 第三者委は、学校がいじめを認知した後、顧問や生徒の担任教諭らが早期に聞き取りなどをしていた一方で、学校全体としての認知は約1年後になったことを指摘。学校の「早期に組織的な対応」は不十分だったとした。

 その結果、生徒や保護者の気持ちを尊重した対応にはならず、苦痛を和らげることにつながらなかったとした。

 また、この学校では部活動が活発に行われていた影響で部活と学級、生徒指導などが切り離されていたと分析。部活内での対人トラブルを重大ないじめに発展させないため、学校全体での組織的対応などにリーダーシップをとるよう県教委に求めた。

 県教委の担当者は取材に「従来からのいじめ防止対策の見直しや、相談体制の充実といった新たな取り組みを進め、再発防止に努めたい」と答えた。

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