アナリストの林聖将さん(左)=2025年6月27日、香川県丸亀市、武井風花撮影

 6月下旬、香川県立丸亀高校(丸亀市)野球部のグラウンドを訪れると、ブルペンで投手が投球練習をしていた。

 投球が通る軌道の下には、幅60センチほどの銀色の機器が置かれていた。緑色のランプが点灯し、一球投げるごとに青色に変化していた。

 部員の林聖将(きよまさ)さん(2年)はタブレットを手に投手の脇に立ち、1球ごとに球速、角度などの数値を投手に伝えていた。

 「あの機械で計測した球のデータが、このタブレットに表示されるんです」と林さん。

 シンガポールの会社が開発した弾道測定器「ラプソード」で、投球の回転数や変化量、打球の速度や角度といった数値が細かくわかる。

 主にプロ向けの機器だが、近年は高校野球の現場でも使用が広がっている。

 練習していた角野竜士投手(3年)は、投げる時の腕の高さが課題だった。「数字を言ってもらうことで、だんだん低く調整できるようになってきた」と、効果を実感する。

 部にラプソードがやってきたのは今年2月。卒業生から寄贈された。今回の機器の価格は100万円以上で、毎年10万円単位の維持費もかかる。

 公立校なので自前での導入は「絶対無理だった」と、杉吉勇輝監督(41)は言う。

 林さんは「責任も感じました」。寄贈された背景の一つに、データ分析が専門の「アナリスト」として林さんが入部したこともあったためだ。

「頭を使った二流は一流をしのぐ」

 林さんは部で初のアナリストだ。

 昨年春から野球部で募集が始…

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