第107回全国高校野球選手権兵庫大会の開会式が29日、姫路市のウインク球場で開かれた。選手たちには万全の体調で試合に臨んでもらうため、昨年と同じく試合は開会式直後に行わず、7月5日に始まる。
雲一つない快晴。ヘリコプターから始球式用のボールが投下され、選手たちの「夏」が、始まりを告げた。
ファンファーレが鳴り響き、スタンドから観客ら約1600人が拍手を送った。入場行進の先導役は、抽選で選ばれた東洋大姫路のマネジャー大和周矢さん(3年)が務めた。「緊張してスタンドは見られなかったが、腕をしっかり振って先頭を歩き、選手らを先導できてよかった」
シード校と参加を希望した計65校62チームが入場した。選手らは大きな声を出しながら行進し、グラウンドに整列した。
橋本智稔・兵庫県高野連会長が「仲間を信じ、正々堂々、はつらつとプレーされることが、皆さんの夢の実現、明るい未来につながることを期待します」とあいさつした。
今大会には164校、153チームが出場する。開幕試合は、明石トーカロ球場で5日午前9時開始予定の神戸北・伊川谷北・神戸学園都市―姫路南。始球式の投手役は、ソフトテニスで活躍する須磨学園高校3年の中谷ももこさんが務める。順調に進めば、決勝は27日、ほっともっとフィールド神戸である。
試合会場は計9球場。入場料はいずれの球場も大人900円、中高生・65歳以上・障害者は400円。小学生以下は無料。
■選手宣誓「感謝」と「野球人口増やしたい」
(29日、第107回全国高校野球選手権兵庫大会開会式)六甲アイランドの内田誠士(まさと)主将が選手宣誓をした。「感謝」や「野球人口を増やしたい」というメッセージを込めた。
【今、この場に立てているのは、ともに歩んできてくれた仲間たち、家族や先生方、そして大会を運営してくださる方々のおかげです】
内田さん自身も悩んでいたとき、チームメートらの声かけに助けられたという。「支えてくださっている方々への感謝は、自分自身も日々実感しています。その思いを宣誓に入れられてよかった」
【近年野球人口が減少するこの社会で、私たち高校球児には野球のすばらしさや楽しさを伝える責任があります】
今年の県内の部員数は昨年に比べて122人減った。県立高校の統合の影響もあり、今夏の兵庫大会には10の連合チームが出場する。内田さんは「前よりも連合チームが増えていることに気がついた。プレーを通してすばらしさを伝えて、野球をする人を増やしたい」と考えている。
家族や練習試合の対戦校の選手らの前でも、宣誓の練習を繰り返した。宣誓を終え、「最後まで詰まらずにできた。こういう経験は誰しもができるものではない。機会をもらえてよかったです」と話した。
選手宣誓の全文
あこがれの聖地を目指して、努力してきた高校3年間。
こうして今、この場に立てているのは、ともに歩んできてくれた仲間たち、家族や先生方、そして大会を運営してくださる方々のおかげです。
また、近年野球人口が減少するこの社会で、私たち高校球児には野球のすばらしさや楽しさを伝える責任があります。
そのため私たち選手一同は、日々支えてくださった方々への感謝を胸に、全力でこの大会を戦い抜くことを誓います。
■ユニフォーム着用可、プラカードの部員も今年から
(29日、第107回全国高校野球選手権兵庫大会開会式) 明石北の増本菜穂さん(1年)は、開会式でユニホーム姿でプラカードを持ち、選手らと一緒に入場行進をした。
今年の開会式から、プラカードを持つ部員は男女を問わず、ユニホームを着用して選手らと行進できるようになった。
増本さんは、中学1年の頃からソフトボールを始め、明石北では野球部に選手兼マネジャーとして入部した。動画サイトなどで過去の開会式を見ていたが、女子部員は公式戦に出場できないため、グラウンドに立てないと思っていた。「みんなと同じユニホームでグラウンドに立てて、めっちゃうれしかった」
試合では「ベンチには入れないけど、スタンドから頑張って応援したい」と話した。
■吹奏楽も「タッチ」で盛り上げ
(29日、第107回全国高校野球選手権兵庫大会開会式) 兵庫県姫路市内の高校の吹奏楽部員有志約100人が「栄冠は君に輝く」「タッチ」などを演奏し、開会式を盛り上げた。
参加したのは姫路、姫路海稜、飾磨、賢明女子学院、姫路飾西、淳心学院の6校。スネアドラムを担当した姫路の井石勇隼さん(3年)は「県内各地から集まった選手らの行進は迫力があり、僕たちの熱量も選手に届くような演奏ができた。最高の状態で悔いがないようにがんばってほしい」と選手らにエールを送った。
■司会進行「力や勇気を与えられたらいいな」
開会式の司会は、北摂三田の橋本暦さん(3年)と鳴尾の高田芽愛(めいあ)さん(3年)が務めた。大きく、はきはきとした口調で、式を進めた。
開会式後、橋本さんは「貴重な機会を頂けて光栄だった。少しでも選手たちに力や勇気を与えたり、背中を支えたりできたらいいなと思っていた」。高田さんは「暑い中、立ちっぱなしで想像していたよりもしんどかったが、それ以上に楽しく特別な一日になった。選手たちが頑張ろうと思ってくれたらうれしい」と話した。