閉会式で行進する仙台育英の選手たち=2025年7月28日午後6時24分、楽天モバイルパーク宮城、福留庸友撮影

 第107回全国高校野球選手権宮城大会は仙台育英が2年ぶり31回目の優勝を果たし、幕を閉じた。参加62校55チームの14日間54試合を振り返る。

     ◇

 宮城大会を制した仙台育英は、柴田の阿部、東北の川原など好投手を擁する相手との対戦が続いたが、投手陣が要所を押さえ、攻撃はワンチャンスを得点につなげて接戦を勝ち上がった。仙台一との準決勝では、田山、土屋の本塁打で突き放す長打力の高さも見せた。

 決勝ではスクイズや犠飛などで着実に得点し、先発の吉川は7回を投げ、6者連続三振を含む計11奪三振の力投。無失策の堅い守りで、33年ぶりに決勝進出した東北学院榴ケ岡を退けた。大会通じ31得点を挙げ3失点と投打の実力を見せた。

 準優勝した東北学院榴ケ岡は、ノーシードから5試合を勝ち抜く快進撃だった。うち3試合は逆転勝ち。シード校の石巻との2回戦では3点差を追う九回に連打で一挙4点を挙げるなど、終盤の勝負強さが光った。決勝では佐々木健、佐々木大のバッテリーが仙台育英の強力打線に対し、強気に内角を攻め、四回までわずか1失点に抑えた。

 8強のうち、仙台一、古川学園、東北学院榴ケ岡、仙台商の4チームはノーシードから勝ち上がった。連合チームも健闘。南三陸・宮城水産・涌谷・石巻北の4校連合は、初戦で10―0の大勝を収めた。黒川・古川黎明・迫桜・中新田の4校連合も仙台高専名取を相手に5―6と奮闘した。

 低反発の新基準バット導入から2年となった今大会中の本塁打は、11本に上った。昨夏の5本を大幅に超えており、選手が新バットに適応しつつあることがうかがえた。

 試合に欠かせない審判にも目を向けたい。12日の石巻市民では、第一試合の二塁審判に三浦徹さん(40)、三塁審判に三浦大翔さん(19)の親子が登場した。第3試合では、古川黎明(大崎市)3年の高橋海翔さん(17)が三塁審判を務めた。

 熱中症対策として、2試合の日は、試合開始時刻を例年より1時間早め、第1試合を午前9時、第2試合を午前11時半開始とした。決勝は暑さ指数が熱中症警戒アラートに達するとの予想を踏まえ、当初の午前10時から午後3時に後ろ倒しとなった。夕暮れ時の閉会式では、観客らが両チームに温かな拍手を送った。県高野連によると、大会通算の来場者数は2万7670人に上った。

 全国選手権大会は8月5日から始まる。仙台育英は2022年に東北勢初の全国制覇を果たし、23年には準優勝。2年ぶりとなる甲子園の舞台。須江航監督は「強いチームと対戦し、多くの経験値を積むことができた。初出場という気持ちで、とにかく一戦ずつ身の丈に合った野球をしていきたい」。一戦必勝で頂点を目指す。

共有
Exit mobile version