将棋の棋士養成機関「奨励会」に在籍する山下数毅(かずき)三段(16)が2日、東京都渋谷区の将棋会館で指された第38期竜王戦5組ランキング戦準決勝(読売新聞社主催)で山本博志五段(28)に勝ち、棋士資格である四段昇段に向けて大きく前進した。対局後、「ここまで勝ち上がれたことをうれしく思いますが、やはり(三段)リーグに気を引き締めて臨んでいかないといけないなと思います」と語った。
山下数毅三段のインタビュー
奨励会員が棋士になるには、三段が参加する「三段リーグ」で上位2人に入ることが原則になる。だが、リーグで次点(3位)に2度入れば、順位戦参加資格のないフリークラスとして四段になる権利を得る付帯規定もある。
さらに、竜王戦には「三段が5組決勝に進出し、4組に昇級(6組からの連続昇級)した場合に『次点1』を付与する」という規定が4月に新設された。山下三段は既に次点をひとつ持っており、合わせて次点2で四段昇段の条件を満たす形となった。
現在参加中の第77回奨励会三段リーグ(18局、現在1勝1敗)で5勝を挙げて降段点を回避すると、権利が確定する。局後、権利行使の可能性について「フリークラスの件に関しても確定はしていないですので、一局一局を丁寧に指していくしかないのかなと思います」と述べた。山下三段は過去5回のリーグ全てで9勝以上をあげている。
山下三段は英国出身、京都市在住。森信雄七段(73)門下。2018年に10歳で奨励会に入会し、藤井聡太名人・竜王(22)=王位・王座・棋王・王将・棋聖と合わせ七冠=と同様に小学6年で初段に昇段するなど将来を嘱望されてきた。22年から三段リーグに参加し、23年の第73回リーグで次点となった。父の剛さんは京都大学数理解析研究所の講師を務める数学者。