関西電力は22日、定期検査中の高浜原発4号機(福井県高浜町)を23日に起動すると発表した。関電が所有する廃炉をのぞく全原発が同時に動く「フル稼働」は、東京電力福島第一原発事故後初めて。今後は、原発のリプレース(建て替え)、新増設の検討に入ると見られる。
関電の稼働する原発は県内だけに7基立地する。関電の原発が同時にすべて稼働(当時は11基)していたのは福島事故前の2009年2月が最後だ。
24年度の関電の原発の保守運営計画によると、発電電力量は約490億キロワット時になる見込みで、福島事故後で最大。23年度の発電実績で、総発電量に占める原発の割合は44%。今年度はさらに原発の割合が高まる可能性がある。関電によると、総発電量に占める原発の比率が高まれば、発電コスト全体は減少していくという。
関電の原発は昨年、東日本大震災後に長期停止していた高浜原発1、2号機が再稼働し、7基体制が確立した。廃炉をのぞく保有原発が全て稼働したことで、今後は原発のリプレースや、新増設の検討に入る。関電の森望社長は今年1月末、原発立地の美浜町民との懇談会で、「次(建て替え)に向けての検討をしていくタイミングだ。理解を賜りながら進めていきたい」と発言している。(佐藤常敬)