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「学びの多様化学校」開設について説明する桑名龍吾・高知市長=2025年9月2日、高知市役所、大西史晃撮影

 不登校の中学生に新しい学びの場を提供しようと、高知市は来年4月、「学びの多様化学校」を市中心部に開設する。文部科学相の指定を受け、生徒の実態に配慮した特別な教育課程を編成できる学校で、開設されれば県内初となる。

 2日の定例記者会見で桑名龍吾市長が明らかにした。学びの多様化学校は「不登校特例校」とも呼ばれ、今年4月時点で全国に58校ある。中学校の学習指導要領で年1015コマ(1コマ50分)と定められた授業時数を減らして、朝や放課後にゆとりをもたせることなどができる。

 高知市では、同市桟橋通2丁目の潮江市民図書館4階に、市立潮江中学校の分教室として開設。受け入れの対象はすべての市立中学校の在籍者で、15人程度を見込んでいる。

 授業時数を770コマに抑えつつ、教科横断的な新教科を学べるようにしたり、体験学習を充実させたりする。スクールカウンセラーらへの相談体制も充実させる。朝の開始時間を午前9時半にするなど、生徒が通いやすい環境づくりにも配慮する。

 年間30日以上欠席する不登校の中学生は、高知市で昨年度500人と推計され、全国平均より高い割合という。現在はカウンセラーが常駐する教育支援センターを「居場所」として利用してもらっているが、市は学ぶ機会を増やそうと検討してきた。

 桑名市長は「不登校になる理由は一人ひとり異なっており、それぞれに合った場所を提供しなければならない」と話した。

 市は9日に開会する市議会定例会に、同校開設の関連事業費約845万円を含む一般会計補正予算案を提案する。11月中旬には、希望者ら向けの説明会を予定している。

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