居酒屋店長の井戸田裕さん(左)にハダカイワシの干物を届けた真城鮮也さん=2024年7月5日午後5時2分、高知市菜園場町、原篤司撮影

 高知で「やけど」と呼ばれる魚がいる。水揚げの時にウロコや皮がはがれ落ち、身が丸見えになるハダカイワシのことだ。

 そんなクセが強い魚に人生に重ね、カツオに並ぶ名物に押し上げようと奔走する男性がいる。

 高知市で食品卸業を営む真城鮮也(あざや)さん(28)は2年前、市内の漁港で漁師に「こういう魚があるんだけど」とハダカイワシを見せられた。

 体長10センチ前後。底引き網で高知の名産魚メヒカリと一緒に揚がってくる魚で、とれる量は多くない。皮膚がはがれるような大やけどのイメージから「やけど」と呼ばれ、細々と食べられていると知った。

 焼いて食べてみた。脂が豊富で味わいがあり、うまかった。頭を取った状態で丸干し(干物)にして売り始めた。

 本気で販路を広げたのは、今年6月、父が営む会社を飛び出し、自宅のリビングに事務机や冷凍庫を置いて「ワクトフーズ」の屋号で水産加工品を売り買いするようになってからだ。

「裸一貫」に思い重ねて

 真城さんは、3歳から母のふ…

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