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高知県香美市議会であった教育長の人事案の採決。議長を除いた16人のうち、起立して賛成したのは6人だった=2025年5月22日午前10時31分、高知県香美市土佐山田町宝町、蜷川大介撮影

 昨年5月に教育長人事が市議会で不同意となり、空席が続いている高知県香美市で22日、臨時市議会が開かれ、依光晃一郎市長(48)が新たな教育長の人事案を提案した。私立土佐塾高校の元校長、佐々木裕氏(78)をあてる案だったが、採決の結果、賛成少数で不同意となった。依光市長は「非常に残念。どういった方なら賛成いただけるのか議員の皆様と話し合いたい」と述べた。

 この日、依光市長は「香美市教育委員会に新しい風を吹き込んでくれる人物」と提案理由を説明した。佐々木氏は四国銀行に勤務後、グループ会社役員を経て、同校長や土佐塾学園学園長を務めた。

 議場では人事案についての申し合わせで、質疑や討論はなかった。反対した共産党市議団(5人)は閉会後、「市長は他の教育委員に相談せず、1回の面談で(佐々木氏に)要請しており、軽率な対応だ」などとする見解を出した。

 香美市で教育長人事を巡る対立が生じたのは昨年2月。当時の教育長は元県教委小中学校課長の白川景子氏(72)で、グローバル人材をめざす教育プログラムなどに全国視察が相次いでいた。市内の高校や大学と連携した学園都市を目指す依光市長が教育長交代を打ち出した。

 だが教育委員4人全員が白川氏続投を要望し、交代案は昨年5月の市議会で不同意となった。任期満了による白川氏の退任後は教育長不在のまま1年が過ぎた。

 この間、依光市長と教育委員は話し合いを重ねたが、対立は解消されず。今年3月には市議会が、人事案を出さない市長への問責を賛成多数で決議した。

 依光市長は「人事案を2度否決されるのは私の進退に関わる」と述べてきた。しかし、この日の取材に「私が辞めて出直し選挙をしても、私が再選されれば事態の打開にならない。この状況で辞めるのは無責任。議員の反対理由を知ることで(改めて人事案を)出せるのであれば、出すべきだ」と述べた。

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