傍聴席に座る家族のひざの上には、2人の遺影があった。額縁を持つ手は力んで筋が浮き、震えている。
そして時折涙を流していた。遺族も、目の前にいる被告も。
9月上旬から月末にかけて神戸地裁で開かれた、交通死亡事故の刑事裁判を取材した。
公判資料などによると、事故は1月19日午前11時すぎ、神戸市東灘区の阪神高速湾岸線の下り線で起きる。
渋滞で低速走行していた乗用車に、大型トラックが追突した。乗用車は前方にいたタンクローリーとの間に挟まれ、厚さ1メートルほどにつぶされた。
乗っていた70代の夫妻が亡くなり、前方にいた車両2台の運転手もそれぞれけがを負った。
気づいた時には…
惨状とも言える光景を招いた、事故原因は何だったのか。
法廷で検察官が指摘したのが、1本のペットボトルの存在だった。
トラックを運転中の男性被告…